私がセブに住んでいた時、ある中年女性のフィリピン人と、サリサリストアで立ち話をしていた。
すると、年齢は50歳くらいだろうか、フィリピン人女性がサリサリストアに買い物に来た。
私が話していた中年女性が、コソっと私にこう聞いてきた。
「彼女、何歳だと思う?」
見た目は、もう50歳くらいの、もうすぐお婆さんの道に足を踏み込んでいるくらいの年齢に見えた。
中年女性は言った。
「彼女は、まだ38歳だよ」
この時は本当に驚いた。50歳代に見えた女性が、まだ30代だったとは。
何故、30代なのに、50代のお婆さんのようになってしまったのか。彼女の過去に何が起こったのか。

もてはやされた10代
10代後半から20代前半のフィリピン人女性というのは、肌もきれいで本当に美しい人が多い。やはり混血というのは美人になるのだろう。
その50代に見える女性は、かなりの美人だったようだ。住んでいる家の近所の男たちは、彼女が通ると皆、彼女に見とれたという。
数多くの男性が、彼女のボーイフレンドになろうとしたようだが、彼女はガードが堅かったらしい。
彼女は誰もが認める美人で、スタイルも抜群だった。
そんなとき、彼女の友達がマニラで働くことになり、彼女にもお声がかかった。
仕事はエンターテーナー。夜の仕事になる。
セブの田舎から、マニラという大都会へ。
夢を膨らませながら、彼女はマニラに旅立っていった。
眠らない大都会マニラ

マニラでの夜の仕事。
彼女は美人でスタイルも良かったことから、すぐに売れっ子になった。
毎日、たくさんの客から指名を受け、たくさんのチップをもらうことができた。
「もうお金に困るような生活とは無縁になる。」そう彼女は思っていたのだろうか。
10代の女の子が、いきなり大金を手にするには若すぎた。
お金の使い方などは全くわからない歳。
マニラは都会で、何でもある。彼女は欲しいものをバンバン買うようになり、お金を貯めることをしなかった。
お金が無くなっても、明日また稼げるから大丈夫と考えていたのだ。
お金はたくさん持っている美人となれば、お金目的の色々な男も近寄ってくる。
セブ以上にモテまくる彼女は、有頂天となっていた。
そして、色々な男と付き合い、同時に複数の男とも付き合っていたりした。
そして、ついに薬物にも手を出すようになってしまった。
セブからマニラに一緒に来た友達は、必死になって彼女の薬物使用を止めたが、友達の声は、もう彼女には届かなかった。
徐々に転げ落ちていく

彼女は、たくさんの男たちと関係を続け、そして、妊娠。
まだ遊びたくて仕方がない彼女が、母親になることは出来なかった。自分が楽しむことした考えていない彼女は、生んだ子供が邪魔になり他人にあげてしまう。
結局、彼女は5人の子供を産み。すべて他人に子供をあげてしまっていた。
セブから一緒だった彼女の友達は、完全に彼女から背を向け、一人でセブに帰っていった。
マニラに残った彼女は、もうひたすら男と薬物を楽しんだ。
しかし、仕事のほうに陰りが見え始めた。
彼女も歳を取ったのだ。
夜の世界は、どんどん若い女の子が入ってくる。
エンターテーナーの世界は、美貌が一番大切。美人でなければ客から指名ももらえなくなる。
段々と夜の世界で稼ぐことができなくなってきた彼女からは、彼女に付いていた男たちも段々と去っていった。
そして、ついに彼女はセブに帰ることを決めた。
セブへ
セブに戻ってきた彼女。
しかし、マニラでの生活が忘れられないのか、男と薬を辞めることができない。
それを見ていた昔からの多くの友達は、彼女から離れていき、次第に、彼女には友達がいなくなっていく。
セブに帰った時は、皆で喜んで出迎えてくれたが、もう彼女を相手にしてくれる人がいなくなってしまった。
ついに、お金も底を付き、男たちも離れていった。
10代後半から20代の大切な時期を、男遊びと薬を楽しむためだけに時間を費やした彼女は、
ようやくすべてを失ったことに気づく。
そして、この後、皆が驚くほどの勢いで、一気に老け込んでいったという。
そして、現在
現在も独身だという彼女。
男も薬も止めたと言っているそうだ。
しかし、それは誰も信じていないという。
中年女性はこう言った。
「男も薬も続けていると思う。周りには止めたと言っているが嘘だ。絶対にやめられるわけがない」
彼女は、信用も失ってしまったようだった。
おわりに
フィリピンには、今を楽しむという生き方をして、あとで苦労をするという人が多い。若さというのは永遠に続かないというのがわからないようだ。
将来のことを考えずに、今を楽しむだけ。もう少し将来のことを真剣に考えられるようになれる人が多ければ、貧しい人たちも少し減るかもしれない。
コメント